「ごみ収集という仕事」という本が、いまちょっとした話題になっています。この本、行政学者が新宿区内で9ヵ月にわたりごみ収集を体験し、その記録と今後の課題を書いたもの。そして、その体験された舞台は、新宿二丁目を管轄する新宿東清掃センターなのです。
この本の中で、「新宿二丁目はごみの無法地帯」と紹介されています。
新宿二丁目のごみ事情について
ごみを回収しているうちにまた次のごみが捨てられる。分別ルールは無視され、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみが混在しており、その場では分別ができないので、東清掃センターに持ち帰って選別する。これは、新宿二丁目だけに手厚い行政サービスが提供されていると言える。新宿二丁目の惨状を目のあたりにすると、散乱するごみは無責任で自己中心的な人間の具現化でもある。新宿二丁目という街のキャンパスに、人間のエゴや醜さが描かれているようだ。清掃職員はこうした人間の醜さを寛大に受けとめ、それにふたをするがごとく、無言で回収をしている。
ごみ収集という仕事の原状と今後について
清掃員の方々には、「お客さんの多い街をきれいに保つ」「きれいな街にお客さんを迎えてあげたい」という強い使命感がある。炎天下や大雨などの過酷な環境の中でも、作業員のチームワーク、運転手の卓越した運転技術や地理感、収集作業で蓄積された知識や経験が、私たちの生活を支えている。そして、それは民間委託が進み継承されにくくなる、という指摘を著者はされています。
「こういうごみの出し方をしてほしくない」代表的な3点について
①水分をしっかり切っていないごみ
重くなり、投げ入れに力を要する。しかも、プレスして押し込む際にごみ袋から水分が飛ぶ。作業員は水分が飛び散りそうになると、身を挺して盾となり、通行人や建物に飛散するのを防いでいる。
②きちんと結ばないまま出されているごみ
作業員は結び目をつかんで素早く投げ入れていく。結び目がゆるく落としてしまうと、路上にごみが散乱し片付ける作業が必要になる。仮に、ごみ袋を結べない場合は、テープで留めるなどの工夫をしてもらいたい。
③分別をしっかりと行っていないごみ
可燃ごみにもかかわらず、ペットボトル※、缶、スプレー缶、乾電池が入っているごみ袋も見られた。作業員は投げ入れる際に、分かる範囲でスプレー缶や乾電池(これらは清掃車の火災を引き起こす危険がある)を抜くように心掛けている。とはいえ、全ての詳細なチェックは不可能であり、排出者のモラルの向上をお願いしたい。※汚れの取れないペットボトルは可燃ゴミです。
【ここからは、私の感想。】
ごみ収集という仕事で活躍する人たちに感謝しよう
「きれいな街にお客さんを迎えてあげたい」という気持ち。新宿二丁目に住んでいたり、商売したりしている私たちが、なぜ同じ思いでいることができないのでしょうか?すでに、新宿二丁目に対する手厚いサービス(ルール違反ごみの収集等)は見直されつつあるように思います。また、2020年には東京オリンピックを迎え、外国人のごみ対策も必要であることから、新宿二丁目の”特別扱い”はますます難しくなることでしょう。自分の店がきれいであればいい、分別しなくても外に出せば収集してくれる、そんな道理に反することがいつまでもまかり通るはずがありません。
この本を読んで私が考えたことは、”ごみ収集という仕事で活躍する人たちに感謝しよう”ということ。リスペクトする、敬意を払い感謝することで、ごみ出しマナーを守ることはもちろん「どうやったら収集がしやすくなるだろうか」という発想が生まれます。行政と民間が協力して街をきれいになることが、一番理想的なごみ収集の姿だと思うのです。近い将来、この本の著者が「新宿二丁目の美化」について執筆してくれたら嬉しいですね。
最後に、9月某日PM3:00頃、新宿二丁目のごみ置場の状況です。
「う~ん、なんも言えねぇ・・・」
この日は手続きのされていない粗大ごみの不法投棄が多く、店舗ではなく事務所で使うような椅子もあります。もしかしたら、一部は他のエリアから運び込まれたものかもしれません。
とりあえず、粗大ごみの出し方だけおさらいしておきます。
飲食店・バーなど事業用の粗大ごみについては、新宿区HP(事業者の区収集の利用)、もしくは、新宿東清掃センター(℡03-3353-9471)にて廃棄物業者を紹介してもらってください。
そもそもごみを出す場所と時間すら徹底できてない
新宿二丁目は上の”してほしくない①~③”のまえに、ごみを出す場所、ごみを出す時間すら徹底できてないんだよなぁ。とにかく、一歩一歩、ごみ出しマナーの改善に向けて情報発信を続けていきたいと思います。そして、この本が新宿二丁目を愛する皆さんにも読んでもらえますように(ご希望があればお貸しします!)。