新宿二丁目で不動産業をしていると、日々様々な出来事に見舞われ「非日常」を味わうことができます。今回は、①恒例の水漏れトラブル(排水詰まり)はもちろん、②昭和を感じるスケルトン工事現場、③ビル脇に白砂利を敷く作業で出会ったものとは?、の三本立てでお送りいたします。
排水詰まりの原因第一位は「ペーパータオル」
とある平和な昼下がり。お客様より店内の床が水浸しになっているとの報告を受け、すぐに現場へ駆け付けました。

天井裏を確認するために点検口を開けたところ、スラブを貫通している配管付近に水漏れの痕跡を発見。配管を包む断熱材が広範囲に濡れており、水はそこから天井ボードを伝って店内へ漏れ出したようです。

翌日、専門業者に依頼して排水管内部をカメラで確認したところ、写真のような紙類が詰まっているのが映し出されました。これはトイレットペーパーではなく、手を拭くために使われるペーパータオル。業者さんの話では、このタイプの紙が原因での詰まりが非常に多いとのこと。
管理をしている弊社の立場としては、お店のトイレにペーパータオルを設置するのではなく、使用後におしぼりを手渡すなど、代わりの対応をしてほしいです。小さな工夫ですが、大きなトラブルを未然に防ぐことにつながります。
今月は他にも排水管の腐食による水漏れが一件ありました…
解体現場から出てきた昭和の記憶

テナント撤去後のスケルトン工事(内装解体工事)を行い、現場からは古びた木材や味のある入口扉がつぎつぎと運び出されました。昔のお店は、床を上げたり天井を下げたり、棚に扉や引き出しが付いていたり、見た目以上に造作が多い気がします。

店内の壁のボードを剥がすと、無数の落書きが現れました。別の壁には「1978年」の文字があり、約50年前にこの場所に合ったゲイバーで、お客さんたちが思い出を刻んだ寄せ書きの壁だったようです。

解体作業中、業者さんが「これ、見ます?」と見せてくれたのが、天井裏に残っていた古びたハチの巣。六角形の部屋が並び、かつてここで過ごした人たちの賑わいと共に、ハチたちもひっそりと集う空間になっていました。
白砂利を敷きながら出会ったボーダー柄のクマ

建物脇の陥没を白砂利で埋める作業を業者さんと弊社スタッフと私の3名で行いました。20キロ×15袋を運ぶのはなかなかの重労働で、翌日はしっかり筋肉痛に。白砂利は排水性が良いですし、ネズミなどの侵入防止にも効果がありそうです。

作業中に拾った毛布とくたびれたボーダー柄のぬいぐるみ。汚れたぬいぐるみのクマは足を組んで、悲しいようなふてくされているような、なんとも言えない表情をしています。
こうしてまた、日常業務のなかに潜む“非日常”に出会った4月。ただ物件を管理するだけではなく、街の記憶やいろんな物語に触れる瞬間が、この仕事の面白いところです。次はどんな出来事が待っているのか…楽しみなような、ちょっと怖いような。でも水漏れはもう勘弁…